春は瞬いているか
春は瞬いているか
情景=春、桜がさかないころ、つぼみ、これから始まる、青春、大人になりきれないぼくら
過ぎ去った春に高校の時代の淡い記憶を思い返している。
大人になりきれなかったボクは憧れのあの子と春の刹那に思いを馳せる。
手を伸ばすと消えてしまうのではないか、どうしてボクはこうして追いかけてしまうのか、と思いながらもつい手を伸ばしてしまうあの子の儚げな引力。どうなるかなんてわからないけど、それでも触れてみたかったんだ。
春はあっというまに過ぎていく。川に浮かぶ花びらのように。あっという間に流れてしまう。ぼくの恋もあっという間に流れてしまった。どうかこの一瞬のきらめきを見逃さないでいて。
君は覚えているかい、あの春の思い出を。ボクとの思い出を。ボクの中にはあの日の抱擁が春が来るたびにどうしようもなくあふれてくるよ、ねえ君はどうなんだい?
あのときの学校、午後の幻はカーテンの揺らぎによって消えていた。けだるさをまとった学校生活、淡き日の思い出とは言い切れないものであった。気づかれることもなく床に転がってゆく鉛筆、この鉛筆の向かう道がわからないように、ぼくらはこれからの行く先を知らない。ノスタルジックな雰囲気をかもしていた高校生活。このときの僕らはまだ大人であるすべをしらないのだ。
ただなんとなく過ごしていた日々、あたりまえのようにいるあの子の姿、ぼくたちは大人になるすべを知らないから、彼女を失うことを無意識に恐れていて、こうして彼女に手を伸ばすことさえためらってしまうのであった。
あれから幾分も歳を重ねてきたが、そのたびに何かに取り残されてゆく心地がする。求めてみても、探してみても、その何かに追いつくことはできない。そうそれはアキレスのパラドクスのように、その何かは前へ前へと進んでしまうのである。
春は瞬いているか?僕らの記憶の中にある、あの湖の朝焼けの色を思い出せるかい?道行く人々が見る景色と僕がみている景色はおなじなのだろうか?いや違うはずだ。春は鼓動のように繰り返し光を放つ、その春の一脈を射る。小さな部屋の中にこの手が届くころにははじけるように輝くんだよ、気づいてるかい?
震えてる君の袖のボタンを追いかけ、手を伸ばす理由もわからないままに、芽吹きゆくつぼみのようなうしろめたさを、隠してるそれでもふれてみたいんだ
震えている君の袖のボタン=
手を伸ばす理由もわからないままに=
芽吹き行くつぼみのようなうしろめたさ=
後ろめたさを隠している=
それでもふれてみたいんだ=
束の間のこの季節 あくびの間に消えていく、川に浮かぶ花びらの行く末を見逃すな
春はあっという間に過ぎていく、この一瞬のきらめきを見逃さないでいて
春は瞬いているか、この胸の中でも、遠くもない君の町でも、またとない刹那を
刹那=きわめて短い時間。ぼくの胸の中でもこの瞬間はかけめぐっているのだろうか、君の町でも、この短い刹那は瞬いているのだろうか。
春は漂っているか、あの曲がり角にも、抱擁が作った空間にも、溢れるほどにねえ どうなんだい
春のにおいがするだろうか、あそこの曲がり角にも、ぼくたちの抱擁が作った空間にも、あふれるほどに、またたいている、君もおなじかい?どうなんだい?
「カーテンの揺らぎで消えた午後の幻 行く先を知らないまま転がる鉛筆
響いてるノスタルジックな感じのエコー 僕はまだ大人であるすべを知らない」
学校、午後の幻はカーテンの揺らぎによって消えた。転がる鉛筆、ぼくらはこれからの行く先を知らない。ノスタルジックな雰囲気をかもす高校生活。僕らはまだ大人であるすべをしらないのだ。
「歳を重ねるたびに 何かに取り残されている 永遠に追いつけない アキレスのパラドクス」
あれから歳を重ねてゆく旅に、何かに取り残されているような気がする。それは永遠に追いつけない。アキレスのパラドクスのように。
「僕らの記憶の中あの湖の朝焼けの色を思い出せるかい 道行く人々へ彼らと僕の景色は同じなのだろうか 違うはずだ それは鼓動のように繰り返し光を発するその一脈を射る 小さな部屋の中この手が届く頃には弾けるようにほら 輝くよ 気付いてるかい」
僕らの記憶の中にある、あの湖の朝焼けの色を思い出せるかい?道行く人々が見る景色と僕がみている景色はおなじなのだろうか?いや違うはずだ。春は鼓動のように繰り返し光を放つ、その春の一脈を射る。小さな部屋の中にこの手が届くころにははじけるように輝くんだよ、気づいてるかい?
0コメント